「好き」を仕事に。和装小物専門店を営む優美な女性 by Re:myself Vol.3     

青山玖株式会社 代表取締役

渡邊 英理子

大学卒業後、証券会社、ITベンチャーの営業職を経て、結婚を機に退職。30代に入り、好きだった着物文化と着付けの勉強を始め、2014年に南青山に和装小物専門店「こまもの玖」を開業。大学1年生の長男、高校1年生の長女、小学4年生の次男の3人の子の母、現在は独身。

青山玖(株)代表取締役

どのような商品をお取り扱いされていますか?

着物のおしゃれに重要な役割を果たす「帯締め・帯揚げ」を中心とした、和装小物全般を取り扱う専門店です。

こまもの玖

こまもの玖

国内一の品揃え

京都をはじめ、全国の優良メーカーの商品を幅広く取り揃え、ブランド数としては国内一です。店内の窓辺には大きな丸テーブルがあり、お客様がご自分の着物や帯をご持参されて、小物選びに没頭できる落ち着いた空間をご提供しています。

こまもの玖

お客様の好みをしっかり把握

和装バッグや草履のオーダー会、厳選した呉服も少し取り扱いをしています。お客様のお好みやお探し物をヒアリングし、1点から着物を染めたり、お手持ちの着物にぴったりの帯を探したり、お母様や御祖母様の大切にしていた着物や帯から和装バッグをお作りするサービスなども行っています。

こまもの玖

職人が作る商品、上質な洗練されたモノを中心に

国内の職人の手仕事によるモノ、上質で洗練され、実用的で装う楽しさも感じられるモノを中心にセレクトしています。

こまもの玖

こまもの玖

起業のきっかけ、それは「4つ」の思いから

「こまもの玖」の起業きっかけを教えて下さい。

はい。この質問は、お客様や取材時にとても多い質問です。一言では説明が難しいのですが、大きく分けると4つの要素があるのです。

①着物がとにかく好き!に起因すること。

②女性としてのタイミング、自立と弱さ。

③ご縁。

④ビジネスとしての整合性とニーズ。

この大きな4つの要素が、起業のきっかけです。

①着物がとにかく好き!

「好き」の先をまっすぐ進む、その先に。

私は着物がとにかく大好きで、幼少期から着物姿の女性を目で追っていて、いつか「着物を着る人」になりたい、ああ素敵!と憧れていました。世の中で、子供の頃から好きだったものや、なりたかった職業に就いている人は、ほんの一握り。33歳の年の初めに、その年のテーマとして掲げたのが「好きなはずの物事に躊躇せず取り組もう、始めよう、向き合おう」でした。そして、真っ先に浮かんだのは、着物を始めとする「和文化の世界」。ずっと二の足を踏んでいたのですが、その時から学び始めて「好き」の先をまっすぐに進んだら、店を持つことに。

②女性としてのタイミング、自立と弱さ。

35~36歳くらいの時でしょうか。子育てが一番大変な時、夫婦関係で悩むことがありました。とてもとても辛かった。逃げ場がなかったし、他に気持ちや力を注ぐ仕事、すぐに子供を連れて家を飛び出す経済力も無かった。その経験から「何かを持っていなくてはダメだ。強くなりたい。」と思いました。強くなること、仕事を持つこと、3人の子育ては、雇われる身では難しいと思いました。当時、末の子は2歳で保育園には簡単に入れ無かったので、自分がここまではきちんとやりたいと思うことを叶えるには、自分で自分を雇うしかない、と考えました。

③ご縁

きもの学院時代に消費者として京都の和装小物メーカーに商品の問合せをし、ご縁が出来ました。きもの学院の師範科時代に研修旅行で京都のその会社へお邪魔し、「和装小物業界」が存在する事を知りました。その後、きもの学院の同期生に頼まれ、そのメーカーの商品を紹介し、思いがけず委託販売を経験しました。すごく美しい!とっても楽しい!みんなに見てほしい…この店の在り方の発想の原点です。

こまもの玖

④ビジネスとしての整合性とニーズ。

着物が好きな人にとって、和装小物はとっても楽しい大事なものです。楽しみにしている予定の前、着たい着物のたとう紙を広げ、帯揚げはどれにしようかな?帯締めはこれかな?と乗せて考える時間は、至福の時。その過程が最高に楽しいのです。でも、多くのデパートや呉服店など、和装小物を買う場所にその楽しさがない。なんで?これが一番に感じた「和装小物を買いたい人と売る場所のテンションの乖離」です。更に、和装小物の大半が1~3万円台の商品なので、ちょうど大人の女性が自分の趣味やお洒落、先の予定に少し何か買い足したい、毎月の自分磨き、デートの前や行事の前にちょっと買いたくなる服や靴、美容室やネイルサロンで使う費用と同じ価格帯だと。

今後の夢や目標は?

事業の規模や活動は、大きくすることは望んでいません。ただ、お客様に安定した良いサービスを提供し続ける事、従業員にもっとお給料を出し、出来ることなら雇用を増やし、社会に納税で還元する。そのために緩やかで安定した成長と利益、尚且つ、私が仕事に明け暮れすぎずQOL高く過ごすこと、そういった地道でシンプルなことを実現したいと思っています。

前向きになるためにしている事は?

仕事そのものが私にとっては好きなことであり、気の晴れることです。新型コロナウィルスによる休業等、不安な状況が続いても、落ち込むということはあまりないですね。離婚と最愛の父を一昨年に亡くすという大きな悲しい出来事を経験していますので、頑張れるものがあるということは幸せです。お客様からも日々力を頂いております。また、茶道の時間やたまのお茶会はリフレッシュのひと時かもしれません。現在は小学生の次男と茶道の稽古に通っています。

インスタグラムで発信

現在は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、営業を自粛しています。インスタグラムを中心に、発信とお客様のご注文対応をいたしております。

こまもの玖(青山玖株式会社)

〒107-0062 東京都港区南青山2-22-4秀和南青山レジデンス103

雇用されるのではなく、自らイニシアチブを取るビジネスをし続けるには、経済およびメンタル部分においてかなりの体力が必要だと思います。そんな中、ご自身の「感性、発想力」を信じ、軸ブレせず、「自分の好き」を貫く姿は、最高に美しく感銘を受けました。

(Re:start Mariko Sato)

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